糖鎖がもたらす働きと健康への可能性
糖鎖について、まず聞いたことがないという人も多いかもしれません。
人間の体は約60兆個の細胞で構成されているといわれていますが、その一つ一つの細胞に数百から数十万もの糖鎖が存在しています。
人体にあるこの物質は、少なくとも数千兆というとてつもない数になるといえます。
これは細胞と細胞を貫くアンテナ役を果たしています。
ウイルスの侵入やバクテリアが出す毒素の感知をしているのです。
すなわち人体への異物を感知しています。
もし正確に作用しなければ、仮に異物が侵入してきたとしても感知することができず、せっかく免疫系が正常でもうまく働きません。
また抗体から情報を受け取ったり、ホルモンなどの生理物質から指令を受けとる役割もあります。
現在この研究が世界中で進められており、特に日本はこの研究をリードしています。
一例として新しい栄養学、グリコニュートリションが誕生しました。
糖鎖は数種類の単糖と呼ばれる分子が集まって構成されています。
このうちグルコースとガラクトースは普段の食事がとることができますが、そのほかの六つはなかなか通常取ることができません。
もし不足すると、細胞と細胞の間のコミュニケーションが取れなくなり、体内機能がバランスを失ってしまい体調を悪化させる原因となってしまいます。
各細胞、ひいては各器官の足並みが合わなくなってしまうのです。
これらを積極的に人為的に摂取しようという考え方が広まってきています。